東南アジア 犯罪: ブラックジャック詐欺

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今回は、私が実際に体験した東南アジア全般で行なわれている詐欺について記載します。

2011年10月私は友人と3人で香港に旅行に行きました。
今でこそ私たちは海外での個別行動を当たり前にしていますが、
当時の私はまともの海外旅行は初めて。
英語もまともに話せず(今もですが(笑))、
海外での単独行動も初めてでした。

このとき、私は「なるべく英語と現地に触れよう」という目的を持っていました。
この目的が間違っているとは思いませんが、1つ重要なことを忘れていたのです。

そう。海外では「日本人はカモ」なのです。
当然、親切な人は沢山いますし、日本人同士でも犯罪があるのですから、
国籍、人種ではなく人間の問題なんですが。

ただ、日本国内では勝手知ったる土地、言葉のため正常な判断が出来ても、
海外においては知らない土地、言葉のため、場の空気に流されてしまうこともあります。
そのことを念頭においてください。

では時間が経ってしまいましたが、当時の様子をなるべく思い出しながら書きます。
最終的にオチはつきますので、気楽に読んで貰えれば。

海外旅行においても、友人と一緒にいると英語を使う機会は減ります。
そのため、この日は友人とは別行動を取る事にしました。

香港の彌敦道(ネイザンロード)[Nathan Rd.]。
尖沙咀(チムサァチョイ)から旺角(モンコック)まで南北に走っているメイン通りです。
中でも一番の繁華街である尖沙咀に宿を取っていた私は、
歩いてすぐの九龍公園に行ってみました。

ターゲットに選ばれる

九龍公園に入ってふらふら周りを見ながら歩いていると、
池のほとりのベンチに座ったオッチャンに呼び止められました。
東南アジアなどのインドネシア系、オセアニアのポリネシア系といった感じのオッチャン。

(以下、会話は一応全て英語のため、私の認識した内容です)

オッチャン(以下、オ)「やぁ、何してるんだ?」
私「ただ、このあたりを散歩してるだけ」
オ「ここ座って話さないか?」
私「あぁ、いいよ」

ベンチに座りオッチャンと話し始めます。
このオッチャンにとっては、声をかけたときから私はカモ。
まずは会話でカモたりうるか見極めるんだと思います。
確証はないけれど、複数人で行動していると、
この犯罪のターゲットにはならないかと。

オ「どこから来たんだ?東京」
私「そう、東京」
オ「東京は一回行ったことあるけど、物価高いよなぁ」
私「まぁ、そうかもね。でも香港も高いでしょ?」
オ「あぁ、高い。とても高いよ。」
オ「旅行か?一人で来たのか?」
私「旅行と仕事で。友人と3人で来た」
オ「仕事は何してるんだ?」
私「○○○○○○。オジサンは?」
オ「船に乗ってる。とても大きな船だ」
私「へぇ。魚取ってるの?」
オ「いや。豪華客船で働いているんだ。」
オ「船の中にカジノがあって、そこでディーラーをしてる」
オ「今は船が港に寄っているから、少しの間休みなんだ」
私「へぇ、ディーラー!すごいね」
オ「もう年だから来年退職するんだ」

この前日、マカオでカジノに行ってたため、
余計に感心してしまったことも、この後に続く出来事の原因でした。

オ「ところで、俺の『ニース』が今度日本に行くんだけど、会ってやってくれないか?」
私「『ニース』ってなんだっけ?」
オ「俺の妹の娘。」
私「(あ~、姪か!)いいよ。いつ来るの?」
オ「来年1月」(って多分言ってた気がする)
私「1月ね、わかった。1月の日本は寒いよ。」

こんな感じの会話をしてた。
そこでオッチャンがカッカッって舌を鳴らした。
何回か鳴らしていたから、クセなのか合図を送っているのか。

ロックオンされた!

合図後(?)、ふと目の前に女性が現れた。
やはりオッチャンと同系統の人。30代くらいでオッチャンの娘らしい。
話の流れで一緒にランチに誘われ、現地の人と交流ができるかもと思いOKした。
友人にTelして聞いてみると、「遠慮しとく」とのこと。
「それ、大丈夫か?」とは心配してくれた。
まぁ、友人が正しかったわけですね。

娘「じゃあ、お婆ちゃんの家に行こう」

オッチャンは後から来るらしく、
先に娘と私でお婆ちゃんの家へ。
食事に誘われた時、どこかの飯屋で食べるのかと思っていた。

道中、娘が日本の歌を多少知っているなどの会話。
この時、私は姪について聞いてみた。
色々聞いたが、
私「いつ、日本に来るんだっけ?10月だっけ?」
娘「そう」

。。んん?あれ?さっきオッチャンは来年の1月って言ってなかったっけ?
この頃から多少の違和感が生まれ始める。

最終的に連れてこられたのは、
九龍公園から10分以上北に歩いたところの大通りに面した
ビルかマンションの7階だか8階。

着いてお婆ちゃんに会う。
この部屋で家族で暮らしていると娘は言った。

だが、どう見てもベッドが2つあるだけの部屋。
寝台列車の向かい合って上下にベッドが2つずつあるのをイメージして欲しい。
あれの、上側のベッドがないような感じだ。
そんな部屋にオッチャン、娘、お婆ちゃんの家族がどうやって暮らすのだろう?

そして会ってソッコーでお婆ちゃんは出て行き、
オッチャンが戻ってきた。

こちらにはコーラが出されたきり、飯が出てくる気配はない。
俺はここに何しに来たんだ?
徐々に疑惑が溢れてくる。
さて、この時点で既に疑惑が出てきたわけだが、
一旦疑惑を整理してみる。

  • オッチャンと娘の姪の話が食い違っていた(これは聞き間違いかもしれない)
  • 娘が食事を買っていたが、どう見ても一人分しかない
  • お婆ちゃんは部屋に着いてすぐ出て行ったきり戻ってこない
  • 飯を食うはずなのに、缶コーラしか出てこない
  • 家族3人で暮らしているには部屋が狭すぎる(日本の平均的な1Rよりもない)
  • そして、飯を食べるスペースすらない

ブラックジャック

部屋に入ってくるなりオッチャンは唐突に切り出した。
オ「ブラックジャックを知ってるか?」
私「知ってるよ。」

前日にカジノに行ったことは書いた。
カジノでは周りがやっている手の合図の意味がわからなかった。
オッチャンはディーラーをやっているという。
手の合図の意味を教えて貰えるかもと思った。

私「でも詳しいルールは知らない」
オ「わかった。おまえに教えてやる」

オッチャンはテーブルを取り出し、ブラックジャックの用意を始めた。

オ「まず、絵札は10点だ。2~9の数字のカードはその数字の点数」
オ「そして1は1点でも11点でもおまえが選ぶことができる」

正直、「そこからの説明はいらん!!」と言ってやりたかったが、
英語がわからなかったのと、取り敢えず聞いていれば話が進むだろうと思った。
基本的なルールを一通り教えられ(ホントに超基本のみ)、
結局聞きたかったことは聞けず。

オ「じゃあ、実際にやってみよう」

そう言って、オッチャンはボードゲームなどで使うような
遊びのコイン(赤、緑、青。。でそれぞれできたやつ)を出してきた。
いやいや、こちらはここで金を賭けるつもりはさらさらない。

私「ギャンブルはやらない」
オ「実際にやるんじゃない、試しにやるだけだ」

しぶしぶ納得し、実際にオッチャンがディーラーで始めてみる。
娘は隣でずっと見ていた。

1回目。
手元の数字は合わせて15。

オ「おまえの合計は今いくつだ?」

いやいや、それを言ったら勝負にならんだろ。

オ「いいから言ってみろ」
私「15」
オ「15か。じゃあ6が欲しいんだな?」
私「そう。6でブラックジャック」になる」

オッチャンは山札の一番上のカードを寄越す。

オ「めくってみろ」

めくるとそこには「6」のカードが。
目を疑った。何がどうなっているんだ!?
山札はこちらで混ぜた。不審な手の動きもない。

オ「もう一回やるぞ」

2回目。
手元の数字は合わせて13。

オ「おまえの合計は今いくつだ?」
私「13」

オッチャンは山札の一番上のカードを寄越す。

オ「めくってみろ」

めくるとそこには「8」のカードが。

私「マジックか?どうなっているんだ?」
オ「いや、マジックじゃない。俺はディーラーだぞ?このくらい当たり前だ」
私「すげぇ!!」

思わず私は興奮してしまった。
しかし続くオッチャンからの話で現実に切り戻される。

いよいよアヤシイ話になっていくわけだ。
さぁいよいよ話は核心に入る。

一緒に騙してやろうぜ!!

オ「以前、俺がディーラーをしてやったゲームで大金を勝たせてやった奴がいる」
オ「そいつの名前はミスター・アマノっていうブルネイ人だ。
普通のやつなら50,000ドルは報酬にくれるんだが
ミスター・アマノは5,000ドルしかくれなかった。
ものすごいケチな奴なんだ。」
私「ふ~ん、それはケチかもね」
オ「だから、俺とお前で組んでミスター・アマノを騙してがっぽり稼いでやろうぜ!」

。。
。。。。
。。。。。。
。。。。。。。。は?

思考がついていかない。
なぜそこでこちらを巻き込む。
いやいやいや、それはないだろう。

オッチャンの話は続いている。

オ「俺がディーラーをやる。そして、この後ミスター・アマノがここにくる。
まず、最初は勝ったり負けたりするが、これはミスター・アマノを安心させるためだ。
そのうち、おまえに大勝ちさせてやる。
俺がコーヒーを頼んだらそこでゲーム終了の合図だ。
おまえはゲームをやめると言えばいい。
わかったか?」

話は聞いていたが、頭の中は完全に
ドウシテ、コウナッタ?

話は完全に理解できたが、これを理解したと相手に伝えるのはヤバイ。
しばらくわからないふりをしてみた。
まぁ、そもそもこの話の流れが理解できないわけだが

オッチャンは辛抱強く話を繰り返している。
3回も繰り替えすとさすがに飽きてきた。

私「その話はわかった。」
オ「よし」

しかし、「その話にのるつもりはない」と伝える前に扉がノックされた。

オ「ミスター・アマノが来たみたいだ」
マジか!

ミスター・アマノ登場!

オッチャンが扉を開け、ミスター・アマノを迎え入れる。

ミスター・アマノ(以下、ア)「ハ~イ!!」

異様に陽気な野郎が現れた。
キャイ~ンの天野と三瓶を足して2で割ったような奴だ。
。。だからアマノなのか?

それがドラゴンボールのリクームみたいなポーズで言ってくる。

ア「ハ~イ!!」

多分私の顔は引きつっていたと思う。
完全に「お命頂戴!」と言われているとしか思えない

挨拶もそこそこにテーブルに着く。

私の隣に娘。
目の前にミスター・アマノ。
娘の前にオッチャン。

オッチャン アマノ
┌―――――――┐
|          |
|          |
|          |
└―――――――┘
娘     私

↑こんな感じ。

オッチャン、最初に書いたとおりインドネシア系
娘、こちらも書いたとおりインドネシア系
ミスター・アマノ、ブルネイ人と言うだけありインドネシア系
私、日本人
。。うん、完全に自分がカモだよね。
はっきり理解した。

頭の中ではガンガン警鐘が鳴っている。
これはヤバイと。
どう切り抜ければいい?
もうゲームは始まる寸前だ。

脱出!!

脱出するためにどうすればいいか、頭をフル回転させている中で
ふと友人の存在と、ポケットにある携帯電話を思い出す。
(ちなみに携帯はSIMフリーのため、実際に友人と話せます)

ここは着信があったふりをするしかない。

私「友人から連絡があったみたいだ。電話がしたい。」
オ「もうゲームが始まるぞ?」
私「どうしてもかけなきゃいけないんだ。」
オ「娘、付いていってやれ。」
娘「わかった。」

完全に娘は監視だろう。幸いにも荷物は肩にかけたままだ。
娘にドアを開けてもらい、廊下へ出てエレベーターフロアへ。

娘「階段で電話すれば?」
私「いや、1階へ行く」

とにかく外へ出なくては話にならない。
エレベーターで1階へ下り、外の大通りへ出るなり友人へ電話した。

友「どうした?大丈夫か?」
私「結構ヤバイ状況。また数分後に連絡するからそれがなかったら
ヤバイと思って欲しい。一旦切るわ」
友「わかった。」

娘に対して、
私「仕事で緊急事態が起きた。すぐに向かわなきゃならない。」
娘「そうなの?わかった。でも姪には会っていかないの?」

いやいや、「姪も何も最初からそんなもんいないだろう!!」
と言ってやりたかったが、とにかくもめることよりこの場を離れるのが先決。

私「いや、そんな時間はない。とにかく緊急事態なんだ。」
娘「わかった。じゃあね」
私「うん、じゃあ」

あっさりと解放された。
そこでもう一度友人に連絡し、一路友人のいる場所へ。
しかしまだ安心はできない。
振り返らずに、しばらくあっちこっち路地を回り、
追ってきていないことを確認してから友人のもとへ。

ブラックジャック詐欺

友人の待つスタバに辿り着き、事の顛末を話す。
友人もヤバイかもと思ってくれていたらしく、実際4~5件着信が入っていた。

友人との結論は、
「まぁ~、めったにない体験をしたよね!」
もう既に完全に笑い話だ(笑)
騙されるところまでいかなかったからね。

安心したところでインターネットで検索してみる「香港 ブラックジャック 詐欺」。
まぁ~既に先達がいらしたわけですね。
出るわ出るわ。

  • トランプ詐欺
  • カード詐欺
  • ブラックジャック詐欺

友人と完全に爆笑(笑)

実際に騙されるとどうなるんだろう?と思い、
被害にあった人のページを見てみる。
内容を見てみると、今まで体験してきた状況が書いてある。

自分に当てはめて流れを説明すると、
・ゲーム開始後、オッチャンが言ったとおりになる

・私が大勝ちする

・ミスター・アマノが金を賭けている証拠金はあるのか?といい、
自分の持っている金を見せ、お前らも金を見せろと言い出す

・ここで一旦ゲームを中断し、オッチャンが
「俺はこれだけ出せるが、お前はどれだけ金を集められるか?」と言う

・「○○○だけ出せる」と回答し、実際に銀行から引き出す

・オッチャンが「ゲームはまた明日続きをやる、金は一旦預かる」と言い
翌日の待合い場所を伝え、翌日会う約束を

・翌日に待合い場所に行ってみると、オッチャンもミスター・アマノもいない

・騙されたことに気づく

このような流れらしい。実際に銀行から金を引き出すまでは、被害はないけれど、
オッチャンに「あの金が俺たちのものになるんだぜ?」と言われ、
大金を目にして判断が狂ってしまうのだとか。

どうやら香港だけでなく、東南アジアで広く行なわれている犯罪のようです。
私は笑い話で終わりました。

親切な人は沢山いるから、一概に海外が危険というわけではないです。
でもこんな事もあるんだと頭の片隅にでも留めておいてもらえれば。

皆さんの旅行がよいものであることを祈りまして。

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